寄稿記事【総まとめ】七二会の森林整備活動について

七二会地区の山崎です。

前回は、3年間の集大成として特殊伐採について記載しました。

しかし、本当に重要なのは継続的な地道な取り組みです。今では週4回5人程度で森林整備活用を実施しています。

1.はじめに

長野市地域おこし協力隊七二会地区では林業がミッションであり、森林整備をさらに進めることが必要な状況でした。

私の専門はITであり、林業の知識はゼロの状況でした。3年目で週4回の森林整備(間伐)をできる環境を作りました。

現在では毎回5人程度で実施しており、間伐以外の活動を含めると週6~7日間程度の頻度で活動しています。

4月16日(月)長野市七二会 下論地の間伐の様子。

 

2.地域の概要、現状

七二会地域では50年ほど前にスギを植えてきました。

その当時を知っている60歳代の人々は山に愛着があります。ご先祖様が大切にしてきた森林に関しては、子孫も同様に大切に思っている方が多ようです。

しかし、日々の生活が優先され山に目を向ける機会が持てず森林を整備するべきと思いつつも放置されているのが現状です。

60歳代の方は子供のころと違って荒れた森林を見て心を痛めている方も多いです。

50歳代だと子供のころに植樹した記憶のある方もいるが、40歳代以下になると自身が所有する森林の場所すらわからない方がほとんどです。若い世代になるについて森林に対する愛着が希薄になっているのが現状です。

4月16日(月)長野市七二会 下論地 間伐地。

 

3.地域の課題について

森林所有者の把握

間伐を推進するには所有者の承諾が必要です。山に愛着を持っている方であっても隣の山林が誰の所有であるかを知らないなど、森林所有者の把握が大変でした。

説明会などを開催し地域を巻き込んで所有者の特定を進めました。今後も所有者を特定するための地道な作業が継続して必要です。

また、あとからわかったことですが、森林の所有者がわかっても依頼者が信用されていないと、森林整備に興味がないような回答になり話が進まないことも多いです。地道に継続的な活動をすることで山主から信頼を得ることが大切です。

2017年10月10日(火)長野市七二会 下論地の森林整備前の様子。当時は、現地の所有者すらわからなかった。

のち、近くの畑の持ち主に聞き取り調査をすることで、把握ができた。

技術や必要な行政手続きの知識不足

山主が間伐の経験がないため、どのように間伐を実施すればいいのか知識がなく、またどこに相談すればよいかも分からないのが現状でした。

また森林でも登記簿上で地目が山林になっていない土地も多いです。

技術的な支援だけでなく補助事業を活用した森林整備ができるよう制度上必要な手続きへの支援についても進めていく必要があります。

 

山に関わる機会の減少

子供も山で遊ぶ機会が少なく、山離れが進んでいます。

森林に興味を持つような親しみが持てる楽しいイベントがあると将来も住みたくなりますし、地元を離れるようなことがあっても、将来は戻りたいと感じることができると思います。

しかし、動植物に関する知識が乏しいため、山菜・きのこなどの知識があれば宝の山ではあるがそれを活かせないことが多いです。

任期1年目から子供達が山と関わるイベントを積極的に企画しました。

森林に関わる活動を実施1 2015年9月23日(水・祝日)の活動 森を楽しむ一日、ロープで遊ぶ

 

森林に関わる活動を実施2 2015年11月23日(月・祝日)七二会の森林資源を活用!森のクラフト工房、安全に刃物を使いこなす

 

森林に関わる活動を実施3 2015年12月13日(日)七二会で森の恵みを頂きました !焚火と野性鳥獣の調理

 

4.地域の理想・夢実現に向けての活動

子供向けのイベントは実現できましたが、私有林の森林整備(間伐等)が急務であることは、素人の私であっても肌で感じることができました。

しかし、「知識も技術ともに乏しい」、「共に行動する人がいない」、「森林整備ができる山林もない」の三重苦で、到底できない状態でした。以下のようにして対応しました。

知識・技術習得のため信州フォレストワークおよび林業・森林セミナーに参加

職場の承諾を得てNPO法人信州フォレストワークに参加しました。森林整備・クラフト工房などについて小川村を中心に実施することで林業の実践的な技術を習得しました。

小川村で6haの間伐を初経験しました。また、長野県林業総合センターの「森林・林業セミナー」に参加することで、不足していた林業に関する知識を補うことができ、林業に関する横のつながりができました。

2017年5月:長野市の助成金を活用し0.3haの間伐を開始

当時、2ha以上の場所を探していたが見つかりませんでした。

このままでは何もできないため、初回は、0.3haと少ない面積でしたが、長野市の助成金を活用し坪根区山林所有者1名から承諾を得て七二会で初となる私有林の間伐作業を実施しました。樹種はスギで、信州フォレストワークのメンバー6名と実施。山主からは自分ではできないことなので助かったとの感想をいただきました。

2017年9月:七二会論地小区で説明会および間伐を実施。3haほど承諾を頂く

5月に実施した坪根の間伐を七二会HPで周知したことがきっかけで論地地域の住民から間伐の依頼を7月に頂いた。論地小区(坪根区内の小さな区の一つ)で間伐説明会を9月に開催しました。

2017年9月24日説明会の様子

説明会には論地小区の住民9名が出席者し、住民も協力的であり地域から出られた山主にも声をかけて頂きました。

住民の協力もありスムーズに合意が取れており、手付かずだった山林が整備されれば助かるとのお話をいただきました。

論地小区の依頼から当初不可能と思ってた6haの間伐実施が決まりました。

2017年10月:坪根区の見本林の間伐を実施

坪根区の見本林の間伐を実施しました。

5月に同じ坪根区で実施した場所は集落から見えない場所でしたが、今回実施する場所は、すぐに見える場所のため見本林として位置付けました。7人ほどで実施しました。

山主は5月に実施した方と同じ方です。今回もきれいに作業してもらったと喜ばれました。坪根区内でも、えらい綺麗になったと評判になりました。

 

2017年11月:七二会(坪根区)で森林整備懇談会を実施

坪根地区住民の6人を対象に、信州フォレストワーク、長野市、長野地域振興局を招いて間伐説明会を実施しました。

参加人数は少なかったでしたが、山林に愛着がある方が多く集まり会話も弾み1時間半に及ぶ有意義な説明会でした。

その後、現地確認を実施し、12月から間伐を実施しています。広い山林が見つかり、今年度実施する6ha分は見つかったことになりました。

2017年11月10日(金)午後6時 長野市七二会坪根にて私有林の森林整備に関する懇談会

七二会地区名について

 

1月上論地の間伐が終わり新たな場所を探す

当初、坪根地区の間伐を予定しておりましたが、坪根地区は標高が高く雪が多いため現地まで行くのが困難な状況になりました。

当時の間伐の様子。上論地

 

同じく上論地。間伐の様子。

 

そこで標高の低い笹平地区の杉林をGISで見つけて、山主に間伐をさせて頂くように依頼しました。

普段から手入れがされている立派な杉林です。光が入っているので一目でわかります。

 

案内頂きました山主の所は、手が行き届いているため、間伐の必要はありません。

今回は、手入れがされていない周辺の杉林を実施することになりました。

4月12日(木)2カ月間に及ぶ笹平地区の間伐が無事終了しました。

4月14日(土)4人による森林整備。古間地区のプチ間伐も終了しました。

 

4月19日(木)には、坪根地区に戻って間伐を進めています。特殊伐採したプロの林業家もボランティアとして参戦です。

 

また、初めて間伐をする方には林業士の私が、丁寧に安全な伐倒方法をレクチャーしています。

新しい会員も、増えて活気づいています。

5.森林活動の実現

移住者視点で地元に身近な山林・森林資源を生かす

間伐作業を実施していますが切り捨て間伐が多くなています。材にして活用できるように頑張っています。実施できる範囲で製材してテーブルや椅子として活用しています。将来的には家なども作りたいです。

私が作成した椅子。

ITをきっかけとした交流・林業の周知

森林離れが進む一方で身近になったのがスマートフォンを代表とするITです。

私はITが専門であることから、パソコン教室などで親しくなり信頼関係ができて間伐へと発展することも多くなっています。得意分野をきっかけに信頼関係を築くことは森林整備にも有効です。

林業×ITによる生計を立て、雇用の創出する

得意とする情報発信により世界から林業とITに興味のある人々が集まって働く世界ができればと思う。自由な発想で家やツリーハウスの建設といった森林・林業に関する行動を起こせる場を創ることが夢です。

 

6 今後の活動について

林業好きが集まる新しい林業スタイルを確立することです。

当初、七二会内から作業をする人を集めようと頑張ったが全く集まりませんでした。

逆に木を伐りたいが、木を伐る環境がない方が信州中に大勢いることが知ることができました。

場を提供することで、山林が好きなメンバーが喜んで作業をします。週4日の間伐作業をしていますが、仕事ではないため縛りがなく、暇な時に参加し用事がある時は気兼ねなく休むこともできます。

また、間伐の際、伐倒本数などのノルマがなく、安全第一で行えば自分のペースでゆっくりできます。また休憩をしていても怒られることはありません。

自分は当たり前と思って行っていますが、プロの林業家にとっても新しい林業のスタイルとのことです。

地域おこし任期終了後の活動

地域おこし協力隊の任期が終了しても、継続的に参加したいと思っています。まずは本業のITによる生計を安定させます。

秋・冬・春限定から年間通して実施できる体制にしたいです。

現在、10月から5月までの間伐を実施していますが、森林整備をする面積が広いため年間を通して実施できる体制にできれば最高です。

NPO法人信州フォレストワークとともに継続的に活動をして、七二会地域全体の私有林の森林整備をすることが目標です。

以上の取り組みを行ってきましたが、七二会の私有林の間伐は始まったばかりです。

何でも自分で行うのではなく、地域と専門家をつなぐハブとしての役割を担うことで成果を出せたと思っています。

七二会の情報発信もそうですが、継続できる体制を作ることが私の得意としているところではないかと思うし、引き続き努力していきたい。

最後に、私の取り組みに理解くださり、協力いただいた信州フォレストワークの皆さんに感謝するとともに、現在の活動拠点である小川村に続き、地域の方々を集め第2の活動拠点を七二会にも構築できるように今後も支援していきます。

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